なぜ爪の先が痛むのか
グロームス腫瘍ができるとなぜ爪の先が痛むのでしょうか?指の指神経というのは、左右の指の脇を上がっていき、神経の終点は爪先の両脇付近となっています。つまり、グロームス腫瘍が爪先付近で発生した場合、丁度、神経の直上にそれが存在することになり、そのために痛みを感じるのです。
ところが、爪先の中央付近に腫瘍があった場合は、痛みが比較的軽くなるのです。グロームス腫瘍の痛みの特徴は、爪先の痛みの加減によって、最初ははっきりとわからないことがあるという点です。この対策は、冷水に手をつけるテストをすることです。それで過敏性が誘発されるので、正しい診断がつきます。
レントゲン撮影も有効で、骨が腫瘍によって圧迫されて形状が変わっている所見が見られることがあります。これは「骨侵食像」といい、骨自体に腫瘍ができているのではなく、外から腫瘍によって圧迫され、単純に骨の表面の組織が薄くなってしまった状態です。
良性の腫瘍ですから心配は要りません。摘出することで時間はかかりますが、痛みは取れます。ある病院の事例ですが、67歳の女性が右親指の爪の痛みを訴えて来院、冷水テストでは、右の親指だけが5分で耐えられないほど痛みます。手を水から上げると、右の親指の爪の発赤が明らかに見えます。その結果、グロームス腫瘍であると判断され、摘出手術が行なわれました。
手術は入院の必要はありません。長期間、指を固定する必要もありません。手術後は3週間で、爪も生え変わりつつあって痛みは消失しました。手術後、8ヶ月で、爪が割れてしまったということです。これはあくまでも一例です。